PSA(前立腺特異抗原)検査問題

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多摩市の健診でも行われているPSA検査についてのニュースが。

以下引用~

前立腺がんの早期発見に有効として広く実施されているPSA(前立腺特異抗原)検査について、厚生労働省研究班は10日、「死亡率を減らす効果についての根拠が現段階では不十分で、市町村による集団検診など対策型検診での実施は推奨しない」とする指針案を公表した。

PSA検査は前立腺の異常を示すタンパク質を血液検査で調べる。約70%の市町村ががん検診として実施している。

研究班は、国内外の約1200の文献を調べ、健康な男性へのPSA検査に前立腺がんによる死亡率を減らす効果があるかを分析した。

指針案は「前立腺がんの早期診断に有用な検査」としながらも「直接的証拠として死亡率減少効果が認められた報告は現時点では存在しない」と指摘。このため「一定の評価を得るまで公共政策として取り上げるべきではなく、現在実施している場合、継続の是非を再検討すべきだ」とした。

~引用おわり。

がん検診の目的は当然「死亡率の減少」です。いくらがんを見つけても、治療法がなかったり、治療してもしなくても同じ運命であれば、早期発見する意味はないわけです。それどころか「がん」と診断されたことによるストレスや、検診にかかる費用を考えれば(運命が変えられないのであれば)やらないほうがいいでしょう。

一方、検診PSAがきっかけでがんが見つかった方は、多くの場合「検診を受けてよかった」と思うはずです。しかし「死亡率減少効果が証明できない」を素直に受け取れば、検診を受けずに(症状が出るまで待って)見つけても(あるいは見つけなくても?)同じ、ということになります。もちろん、実際には検診で恩恵を受ける方とそうでない方がいて、全体で比較すると検診を受けないグループと差がないのでしょう。

日本泌尿器科学会はこの指針案に反発しているそうです。これは専門家としては当然・・・は言いすぎとしても理解できます。泌尿器科医としては、なるべく早期がんの段階で目の前の患者さんを治療し(その治療も進歩させつつ)、治療成績を向上させたいと考えるのは自然だと思います。「文献」や「エビデンス」というのは、すべて過去の話なのですから。

それでもEBM(Evidence-based medicine)を厳密に適応すれば、このような指針が出るのも分かります。結局、立場の違いで見解は変わる、というよくある結論ですね。時代はEBMですから、この指針どおりに検診PSAは見直されることになるでしょう。

折衷案としては、検診時に、排尿障害などの自覚症状がある方にはPSA検査を追加できるようにする、というのはどうでしょう。ま、なんのエビデンスもありませんが。


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