ノロウイルスについて知っている二、三の事柄【前編】

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連日報道されているとおり、ノロウイルスが流行中のようです。

嘔吐と下痢の患者さんが多いな、というのはたいていの医者が気付いていることではあります。しかし、実際ノロウイルスなのかどうかというのはほとんど調べられていないのが現状でしょう。新聞やTVを見て「あ、流行ってるんだ」→「あなたはノロウイルスに感染してると思われます」なんて診察室で言っているわけです。

ふたつ前の記事で書いたとおり、僕自身も感染したわけですが、ニュースを見て「自分もノロだったんだろうな」と思っている次第です。

最近では「ノロウイルスかどうか、調べてください」と言われることがありますが、今のところ検査したことはありません。理由としては①保険がきかない②ノロウイルスであれば検査結果(最短でも3日かかる)がでるまでに治ってしまう③ノロウイルスであったとしても治療が変わるわけではない、といったところです。
では、誰が検査を提出しているのか?おそらく保健所などが嘔吐・下痢が集団発生したときなどに検査しているのでしょう。
当院もお世話になっているBMLのページを見ると「混雑が予想されます」と書いてあります。保健所だけではないのかも。あと受付検体は絶対凍結の便だけだそうです(RNAウイルスなので)。

インフルエンザのように診察室で検体(鼻汁)を採り、15分程度で結果が出るような簡易キットは今のところ存在しません。仮に簡易キットが開発されたとしても、検体が便だと実際に診察室レベルで検査を行うのは難しそうです。「はい、では便を出してください」というのはちょっとねえ・・・。しかも水様便となると採取もなかなか苦労しそうです。

ちなみに島津製作所が「世界初!糞便からノロウイルス遺伝子を直接検出する試薬キットを発売」と宣伝していますが、よく見るとRNA抽出の過程が短くなるだけで、「全工程は約4時間」と書いてあります。RT-PCR(RNA増幅反応)、さらに検出の工程があるので当然といえば当然でしょう。上記コピーはやや誇大広告のような気がします。


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