ゴッホ展を見た

画像
久々に医療以外の話題。

現在、東京国立近代美術館で開催中の「ゴッホ展―孤高の画家の原風景」を見てきました。英語タイトルは「van Gogh in Context」。

カタログには、序として「ファン・ゴッホを美術館で歴史的コンテクストとともに語ること」という文章が載っていて、この展覧会のコンセプトが明快に述べられています。要約すると、「不遇の天才」「芸術の殉教者」といったいわゆる「炎の人伝説」のようなステレオ・タイプな物語パターンから、ファン・ゴッホを解放しよう、という宣言です。実際の展示では、ゴッホの作品以外に、本や雑誌、版画などの「もの」が多く、ファン・ゴッホが生きた同時代の雰囲気が窺えるつくりになっていました。
美術展というのは優れた美術作品を見せるのが大きな目的ですが、それを「どう見せるか」について、これほど意識的な展示はあまり見たことがなかったので新鮮でした。

オランダのアイテルト教授による「フィンセント・ファン・ゴッホは『孤高の画家』だったのか」という論文も面白かったです。疑問符が投げかけられているわりに、日本語タイトルは「孤高の画家の原風景」と付いていますが。

ところでこの展覧会の企画は10年前からあたためられていた、と「序」で明かされています。実は企画者である圀府寺司(コウデラ・ツカサ)教授の授業を受けたことがあります(少々自慢)。僕は広島大学出身ですが、ちょうど僕が入学した頃、圀府寺先生はオランダ留学から戻ってきて広島大学で教えていました(当時はまだ教授ではなかった)。
大学時代で最も印象に残っている授業は、解剖学でも内科学でもなく、圀府寺先生の美術史の講義です。とにかく面白かった!これぞ大学、と思ったものです。今回の展示は先生の講義を聴いていた者にとっては特に馴染みやすい、ということだったのかも知れません。あ、医学の勉強をしなかったわけではないです。念のため(笑)。

予想通りものすごく混雑していたので、普通よりじっくり、ゆっくり展示を見ることができました。東京展はあとわずかで終了ですから、今頃はもっと大混雑なんでしょうね。これから大阪、名古屋に巡回するようなので、お近くの方は是非。カタログも読み応えがあり、お薦めです。

5.25訂正。圀府寺先生の「圀」の字を間違えていました・・・失礼しました。

この記事へのコメント

ami
2005年05月20日 20:54
先生、こんばんは!國府寺先生の面白い美術史の講義を受けたいです。美術が大好き!ゴッホも好きです。凛とした色彩、無駄の無い構図。苦悩なん見えず余裕が感じられます。風景画なのに人物画のように感じます。きっと、ゴッホの存在感が私にそのように感じさせるのかな?オランダでもゆっくり見てきました。大阪でも是非鑑賞したいと思います。
カタログも買います。
2005年05月26日 00:11
いつもありがとうございます。言い忘れてましたが圀府寺先生は今、阪大教授です。6月11日に大阪展でも講演会をやるようなので、お時間が合えば是非聴きに行ってみてください!

この記事へのトラックバック