「白血病はこわくない」を読んで

「白血病はこわくない―臍帯血でつなぐ命のきずな」という本を読みました。臍帯血(へその緒と胎盤の中の血)という、今まで捨てていたものを、白血病などの治療に使うという画期的な治療についての本です。医療スタッフや患者さんを始め、臍帯血移植に関わる様々な業種の方が執筆されていて、臍帯血についての現状が分かりやすく解説されています。
昨年まで僕は、白血病に代表される血液の病気の治療、特に移植を担当させて頂いていました。この本にも文章を書かれている、日本で初めて成人臍帯血移植が成功し元気になった女性は、僕の友人が主治医だったこともあり、臍帯血移植については初期の頃から関心を持っています。
臍帯血はドナーの負担が全くないこと、コーディネートにほとんど時間がかからないこと、白血球の型(HLA)がぴったり合わなくても大丈夫なことなど骨髄バンクに比べメリットが多く、あっという間に広まってきました。もちろん実際にはすべての方がうまくいく、ということは残念ながらないのですが、骨髄バンクではいくら探してもドナーが見つからなかった方には本当に画期的な治療です。「あの時臍帯血バンクがあったらあの患者さんは助かったかもしれない」、という気持ちは世界中の移植医が持っていると思います。個人的にはこういった治療技術の進歩に医師として関われたことは幸せでした。
あと、この本を読んで初めて知ったのですが、うちの近所の日本医科大学付属多摩永山病院が「出産時に臍帯血を提供できる病院」のリストに入っていました。(恥ずかしいことに、同じ系列の病院で移植をやっていたのに知りませんでした・・・)こんなに素晴らしいことをやっているのに日本医大のHPには情報がのっていないのはなぜなんでしょう?提供に関する問い合わせは、東京臍帯血バンクまで、と書いてありました。念のため。
僕の持っている本は編者の幸道先生から直接買い、勢いでサインまでもらってしまいました(笑)。
臍帯血についてくわしくは日本さい帯血バンクネットワークを。
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